一級建築士 中沖 祐介

家族が長い時間過す事が想定されるLDKを2階に計画し、各居室は道路からセットバックさせた1階の南面にまとめて計画する事で、
快適な住環境を確保できるようにしました。
1階はホール部分と居室エリアの境界で、天井を敢えて下げる事でパブリックとプライベートの空間分けを行いました。
一般的な居室で提案する天井高2.4ｍより、天井高を2.2ｍとした居室エリアは穴蔵感を意識した空間となるように遊び心を取入れました。
またホールの両側壁面から突出た階段踏板がリズミカルに2階へと導 いてくれます。
階段を昇っていくと屋根の形状に沿った勾配天井で計画した大空間のLDKが待受けています。
勾配天井の計画はツーバイ工法の屋根構造を採用し、均等に並んだ屋根垂木(構造材)を露出させる事で
リズミカルでダイナミックな空間を演出しました。
LDKについては建具等で仕切らず、階段ホールを組込んだ居間+食堂・台所の形式を直線状に並べる事で、より広々と開放的な空間を演出しました。
またソファーに座ってくつろぎの場となる居間については、2階床高 から1段上げる事で特別な空間である事を印象付け、
食堂や台所に居る家族の方のアイレベルを極力近づける事で家族のコミュニケーションを図りやすくしました。
居間の西側に隠し部屋のようにセカンドリビングとサンルームを計画しました。
セカンドリビングはシアター ルームやお子様の遊び場として多目的に使用でき、サンルームは物干し場としても使用できる計画としました。
外観は緩やかな勾配で軒を広く出した2階大屋根により重厚感と水平ラインを強調し、南西の層2階部分で垂直ラインも強調させました。
そして1階外部空間のインナーガレージにより、ピロティ形式の浮遊感を持たせたモダンな意匠としました。
外装材にはサイディング・塗り・タイル・無垢板材を使用している為、無機質な素材と自然素材のコントラストを印象付けました。
さらに敷地内に計画した植栽の葉の色や、外壁や地面に落とす影が無機質と有機質の
混在する外観に橋渡しの役割を果たし、外構全体にやわらかな印象を与えてくれています。

コーディネーター 小原 陽子

このモデルハウスの素材感をいかに活かすかを考え、外装・内装共に使用している異素材の質感を大切にコーディネートすることにしました。
外装は無垢板材とのコントラストを意識して濃いグレーのサイディングを選び、ラフな仕上げの塗りと凹凸のあるタイルで質感の違いを印象付けています。
素地の構造材を露出したLDKの天井と垂木、オーク柄の床や階段の色を目立たせる為、基本となるカラーは白とグレーを選択。
白い壁紙の空間にグレーの建具とクロスを合わせ、窓廻りも全て基本色のロールスクリーンで統一してすっきりとした空間に仕上げました。
オークの無垢材を使ったダイニングやソファなどの家具のファブリックもグレーでコーディネートしています。
照明計画はシンプルかつ灯りの存在感を意識。LDKは構造材露出の天井を美しく見せる為に梁や壁からのスポットライトと間接照明で高さや位置に変化を持たせて分散配灯し、
空間に変化と奥行き感を出しつつ 必要照度も確保しました。
ダイニングと階段吹抜部分のペンダントライト、玄関ホール奥とリビングのフロアライトのデザインを統一することで空間の連続性を持たせています。
特に階段のペンダントライトは、リビングのソファに座った時に格子状の壁面収納の間から灯りが見える位置に合わせてみました。
LDKの照明配灯の中で効果的な灯りになったと思います。
主寝室は水平ラインと垂直ラインに間接照明を仕込み、部屋全体の明るさを確保しています。明るさと落ち着き感を出すことが出来ました。
階段廻りの大きな窓から差し込む昼間の光と、日が暮れてからの照明の落ち着いた灯り。どちらも心地良さを感じていただけると思います。